▲ シドニー不動産市場:高級住宅街が回復を牽引
シドニーの不動産市場は回復基調を強めており、歴史的な高値更新が予想されます。利下げが高価格地域の不動産需要を刺激する主要因となっています。 2024 年 9 月のピーク時と比較すると、シドニー全体の住宅価格は 1.6% 下落していますが、地域差が顕著です。ノーザンビーチなどの高級住宅街では大幅な下落が見られる一方、南西部郊外では二桁の成長を記録。CoreLogicのティム・ローリス所長は、 2025 年までに高級住宅街が本格的な回復を遂げると予測しています。 2 月のシドニー一戸建て住宅中位価格は 0.3% 上昇し 146.4 万豪ドルに達し、昨年 9 月以来初の上昇となりました。利下げ期待が購入者心理を改善し、高級物件市場の活性化につながっています。

▲ 他都市の不動産市場:回復格差が拡大
- 成長鈍化地域
従来の不動産市場をリードしてきたパースとアデレードでは、 2 月の価格上昇率が鈍化。パースは過去最高の 840,400 豪ドルを記録したものの、上昇率は0.2%にとどまり年間成長率は 13.9% に低下。アデレードは 0.3% 上昇で 873,029 豪ドル、年間成長率 11.5% となりました。ブリスベンの一戸建て中位価格は 977,381 豪ドルを維持していますが、年間成長率は 8.6% に減速しています。
2. 回復受益地域
メルボルンとホバートは、 2020 年 11 月以来初となるRBA(オーストラリア準備銀行)の利下げを受けて最大の価格上昇を記録。ホバートは生活費危機の影響で 2022 年 3 月のピーク比 11.9% 下落しているものの、前月比 0.6% 上昇(699,533豪ドル)でわずかな回復兆候を示しました。メルボルンはピーク比 6.4% 安の 916,763 豪ドルながら、 0.4% 上昇を達成。ローリス所長は、 2025 年までにシドニーとメルボルンの高級住宅街が最大の成長を見せると予測しています。コモンウェルス銀行とウェストパック銀行は、クリスマス前までにさらに3回の利下げが実施されると予想しており、両都市の回復は主に高級物件市場が牽引すると分析しています。
3. 郊外地域:低価格帯市場の台頭
過去 1 年間で、手頃な価格帯の郊外地域が注目を集めています。パースのスワン地区は 20% 上昇( 759,869 豪ドル)、アデレードのプレイフォード地区は 15.9% 上昇( 608,962 豪ドル)、ブリスベンのローガンリー地区は 14.2% 上昇( 816,658 豪ドル)、シドニーのフェアフィールド地区は 12.4% 上昇( 117.1 万豪ドル)を記録しました。これらの地域は比較的低価格でコストパフォーマンスに優れることから、多数の購入者を惹きつけています。
▲ 利下げ影響:市場活性化の推進力
RBAは先月、政策金利を25ベーシスポイント引き下げ 4.1% とし、コモンウェルス銀行とウェストパック銀行はさらに3回の利下げで 3.35% まで低下すると予測しています。AMPのシェーン・オリバーエコノミストは、 2025 年下半期までに住宅価格の上昇ペースが加速すると見通しを示しています。利下げは銀行融資の増加を促すだけでなく、住宅所有者の負担軽減、苦境に陥った売却の減少、購入者の借入可能額拡大を通じて需要を喚起しています。
▲ 市場展望:機会と課題の共存
オーストラリア不動産市場は複雑な環境下で明確な地域格差を呈しています。利下げ政策が購入者に自信を与え、高級住宅市場が主要都市で先行回復する見込みです。ただし、移民数の減少や物件不足など複数の要因が全体の価格上昇を抑制しています。今後のRBAの利下げ継続と経済環境の変化に伴い、新たな機会と課題が生じる可能性があります 12 。購入者や投資家は市場動向と政策変更を注視し、適切な判断が求められます。