日本、対米関税で強硬姿勢を維持 ― 二国間貿易関係には依然課題

概要:世界経済の回復が鈍化する中、国際的な貿易障壁の問題が再び各国の注目を集めている。最近、日本政府は、アメリカが日本の鉄鋼・アルミ製品に課している関税の撤廃を強く求め、その姿勢を改めて表明した。日米両国は経済的に緊密な関係を築いているが、関税をめぐる対立は依然として両国間の課題となっている。

▲ トランプ政権が関税政策を継続、日本は撤廃を再要求

2018年以降、米国は1962年通商拡大法第232条を根拠に、「国家安全保障上の理由」により輸入鉄鋼・アルミ製品に関税を課している。EUや韓国などの一部の国々は、関税の代替として輸入枠の設定による免除措置を米国と取り決めたが、日本はこれまで同様の措置を受けていない。

2025年初頭に再任したトランプ大統領は、従来の関税政策を維持するだけでなく、日本の鉄鋼・自動車製品に対して25%の関税を再び課す措置を講じた。さらに、日本製品の大部分に10%の暫定関税を設定しており、日本の輸出企業への影響は大きい。

こうした中、日本の山下一仁首相特別代表は最近ワシントンを訪問し、米国家経済会議や通商代表部(USTR)の当局者と会談、日本政府として関税の撤廃を強く求めた。

▲ 日本は現実的な戦略で第4回通商協議を推進

関税問題が未解決のままであるにもかかわらず、日本政府は引き続き対話と交渉による解決を模索している。5月23日のロイター報道によると、日本の赤澤良生首席通商交渉官は5月30日に訪米し、スコット・ベサント米財務長官との間で今年に入ってから4回目となる高官級会談を実施する予定である。

今回の交渉において、日本側は自動車認証の相互承認、農産品輸入手続きの簡素化、半導体サプライチェーンにおける協力など、複数の分野で協調案を提示する見通しである。その見返りとして、日本は自国の鉄鋼や自動車といった主要輸出品への関税撤廃を米国に求める方針だ。

▲ 関税の影響が顕在化 日米貿易関係に圧力

米国の関税政策は、日本の対米輸出にすでに大きな影響を与えている。日本財務省の発表によると、2025年4月の対米輸出は前年同月比で1.8%減少し、とくに自動車輸出は4.8%減と大きく落ち込んだ。専門家は、円高や世界的な需要低迷に加え、新たな米国の関税政策が日本輸出の減速に直接的な影響を与えていると分析している。

一方で、米国内でも一部の業界団体からは鉄鋼・アルミ関税に対する懸念の声が上がっており、これらの政策が国内製造業の保護に大きく寄与していないばかりか、下流産業のコストを押し上げているとの指摘もある。これは日本にとって、米国に政策見直しを働きかける上での好機となり得る。

▲ 今後の展望:協議が鍵を握る

今日の高度に相互依存したグローバル経済において、一方的な貿易保護政策は長期的に維持することが困難である。トランプ政権は引き続き自国産業の保護に重きを置いているものの、日本を含む多くの同盟国は、外交交渉によって互恵的な解決策を模索している。

日本にとっては、二国間および多国間での協議を着実に進め、戦略的な譲歩と国益のバランスをとりながら、対米通商政策を構築することが求められる。まもなく行われる次回交渉で突破口を見い出せるかどうかが、今後数年間の日米経済関係の方向性を左右することになるだろう。

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