豪州は、供給不足、値ごろ感の低下、中所得世帯に適した住宅の不足など、住宅に関する課題に直面している。政府が設定した目標は達成困難であり、投資の拡大、政策の確実な実施、多様な住宅オプションの提供、住宅所有の改善などの対策を通じて対処する必要がある
Ⅰ. なぜ現在オーストラリアの住宅危機が起きているのか？
オーストラリアは住宅供給不足の危機に直面しており、17万人以上が公営住宅の入居を待ち、約12万2,000人がホームレスとなっている。これは明らかに、国内の住宅供給不足が深刻であることを示している。さらに、住宅購入能力は低下しており、購入希望者は平均的な物件の頭金20％を貯めるために平均約10年を費やす必要がある。この問題をさらに深刻にしているのが、中間所得世帯に適した住宅が市場に少ないことである。2022年度から2023年度にかけて販売された住宅のうち、中間所得世帯に適した住宅はわずか13%に過ぎず、低・中所得世帯に適した住宅が市場に極端に不足していることを反映している。
II.オーストラリアの住宅危機と対処戦略の課題：
オーストラリア政府が設定した5年間で120万戸の良質な住宅を新たに建設するという目標は、達成が非常に困難な課題に直面している。こうした課題や問題は、政策実行の障害につながりかねず、2029年までの目標達成の可能性を遠ざけている。報告書では、住宅問題の緊急性が強調され、政府が公約を実現するための具体的な行動をとらなければ、住宅危機が悪化し、人々の生活環境に影響を及ぼすだけでなく、生活の質や精神衛生にも深刻な影響を及ぼす可能性があると述べられている。財務大臣はその発言の中で、住宅を来年度予算の焦点とする必要性を強調したが、これは政府が住宅問題への対処の緊急性と重要性を認識し、行動を起こす用意があることを明確に示すものである。
Ⅲ.現状を改善するには？
- 投資の拡大： 政府が次年度予算で新たな住宅プログラムに250億ドル以上を投資する計画は、住宅供給の拡大に向けた前向きな一歩である。
- 政策の実施と規制： 政策が円滑に実施され、目標が確実に達成されるよう規制の仕組みが整備されるようにする。
- 住宅の選択肢の多様化： 市場の需要を緩和するため、様々な所得レベルの世帯、特に中間所得世帯に適した住宅の建設を奨励する。
- 住宅取得条件の改善： 住宅ローンの優遇条件や初めて住宅を購入する人への補助金など、金融政策や補助金を通じて、潜在的な購入希望者の購入しやすさを向上させる。
